身言葉まとめ

日本語に隠された「身言葉」の世界を深掘りしていきます

【身言葉まとめ】「面」「つら」を使った言い回し

「面」「つら」を使った言い回し(慣用句・ことわざ・日常定着表現)には「度胸・図々しさ」「体面・世間体・名誉」「心理状態・態度」「物事の局面・側面・抽象的概念」といった間接的・比喩的な意味があります。

 

1. 度胸・厚かましさ・恥・世間体

  • 面の皮が厚い(つらのかわがあつい)

    • 【意味】厚かましい。図々しい。恥知らずである。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】夏目漱石『坊っちゃん』:「世の中に面の皮の厚い奴は沢山居るが…」

  • 面の皮をはぐ(つらのかわをはぐ)

    • 【意味】厚かましい者の正体や偽善を暴いて恥をかかせる。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】芥川龍之介『羅生門』:「このババアの面の皮をはぎ取ってやりたい」

  • 面汚し(つらよごし/おもよごし)

    • 【意味】家名や所属組織の名誉・体面を傷つけること、またその者。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】樋口一葉『たけくらべ』:「学校の面汚しになりて」

  • 面を張る(つらをはる)

    • 【意味】図々しく振る舞う、意地を通して度胸をすえる。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】式亭三馬『浮世風呂』:「面をはつて図々しく居座る」

  • どのつら下げて(どの面下げて)

    • 【意味】大きな失敗や悪事を働きながら、どんな図々しい神経で再び現れるのかという詰問。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】吉川英治『宮本武蔵』:「どのつら下げて戻ってきたか」

  • いいつらをする(良い面をする)

    • 【意味】表面上だけ善人ぶったり、調子の良い顔つき・態度をしたりする。

    • 【出所】『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】夏目漱石『坊っちゃん』:「陰へ回るといいつらをする」

  • つらを見せる(つらをみせる)

    • 【意味】姿を現す。訪問・出席する(自嘲や投げやりな比喩的ニュアンスを含む)。

    • 【出所】『デジタル大辞泉』

    • 【例文】太宰治『人間失格』:「もう二度とあそこへはつらを見せまい」

  • つらを出す(つらをだす)

    • 【意味】顔を出す。その場に現れる。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】谷崎潤一郎『細雪』:「めったにつらをださない」

  • 面憎い(つらにくい)

    • 【意味】態度や存在そのものが憎たらしい、憎々しい。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】『源氏物語』葵:「面憎く思ひぬべき」

  • 面映ゆい(おもはゆい)

    • 【意味】照れくさい。恥ずかしい。面目がなさすぎて顔が熱くなるようだ。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】川端康成『伊豆の踊子』:「褒められて面映ゆい思いをした。」

  • 面がない(おもがない)

    • 【意味】面目がない。恥ずかしくて世間に顔出しできない。

    • 【出所】『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】『徒然草』第212段:「顔なくて居たるに」/『大鏡』:「面なくおぼゆる」

  • 合わせる面がない(あわせるおもがない)

    • 【意味】相手や世間に対して申し訳なく、恥ずかしくて顔を合わせられない。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】『源氏物語』夕顔:「合わせむおももなく」

  • 面を起こす(おもをおこす)

    • 【意味】恥ずかしい状態から立ち直り、名誉を回復する。面目を保つ。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】『平家物語』巻一:「わが朝の面を起こし給へり」

  • 面を伏せる(おもをふせる)

    • 【意味】恥ずかしさや罪悪感のあまり、顔を上げて正視できない。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】『平家物語』:「かたじけなくも面を伏せて」

  • 面を汚す(おもをよごす)

    • 【意味】体面・名誉を傷つける(=面汚し)。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』

    • 【例文】『平家物語』:「先祖の面を汚すなかれ」

  • 面を向ける(おもをむける)

    • 【意味】(主に打消しを伴い)恥ずかしくてその人や世間と対面できない。

    • 【出所】『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】『源氏物語』桐壺:「面をも向くべきにあらざるを」

  • 面を背ける(おもをそむける)

    • 【意味】恥ずかしさや嫌悪感から正視せず顔をそらす。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』

    • 【例文】『源氏物語』:「いと心苦しく面をそむけ給ふ」

  • 面隠し(おもかくし)

    • 【意味】恥ずかしさから自分の姿や顔を隠すこと。体面を繕うこと。

    • 【出所】『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】『伊勢物語』:「面隠しにして逃げにけり」

  • 面晴れ(おもばれ)

    • 【意味】晴れがましいこと。面目が立つこと。誇らしいこと。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】『平家物語』巻四:「いと面晴れなる事なり」

  • 面立つ(おもたつ)

    • 【意味】面目が立つ。名誉が保たれる。

    • 【出所】『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】『平家物語』巻一:「面立つべき事なり」

  • 面に似ぬ(おもににぬ)

    • 【意味】見かけや容姿に似合わず、意外な性格や行動をとること。

    • 【出所】『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】『枕草子』:「面に似ぬ心」

  • 面変わり(おもがわり)

    • 【意味】容姿の印象が以前と変わること。また物事の情勢・世相が一変すること(比喩)。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】『源氏物語』宿木:「年月のへだたりに面変わりして」

  • 面やつれ(おもやつれ)

    • 【意味】心労や苦労のために顔立ちが弱々しく衰えること。

    • 【出所】『デジタル大辞泉』

    • 【例文】『源氏物語』桐壺:「面やつれ給ひて」

  • 面の皮を剥ぐ(めんのかわをはぐ)

    • 【意味】厚かましい者の化けの皮をはいで羞恥を感じさせる。

    • 【出所】『デジタル大辞泉』

  • 面痩せ(おもやせ)

    • 【意味】心苦しさや病苦・憂いに悩まされて顔がやせ衰えること。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』

  • 面当たる(おもあたる)

    • 【意味】①目の当たりにする。②顔と顔を合わせる。

    • 【出所】『精選版 日本国語大辞典』

  • 面を改める(おもをあらためる)

    • 【意味】表情や態度を厳しく改める。または面目を改める。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』

  • 面を張る(おもをはる)

    • 【意味】世間体・体面を張り合って意地を通す。

    • 【出所】『精選版 日本国語大辞典』

  • 面の威(めんのい)

    • 【意味】容貌や表情からあふれ出る威厳・威圧感。

    • 【出所】『精選版 日本国語大辞典』

    • 【引用】『史記』

2. 驚き・態度・名誉・評価に関する表現

  • 面を食らう/面食らう(めんくらう)

    • 【意味】思いがけない事態に直面して、不意を突かれて慌てふためく。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】太宰治『走れメロス』:「突然の問いかけに面食らった。」

  • 面くらわす(めんくらわす)

    • 【意味】不意打ちを喰らわせて相手を驚かす・狼狽させる。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『精選版 日本国語大辞典』

  • 面目がつぶれる(めんぼくがつぶれる)

    • 【意味】世間に対する体面や名誉が損なわれる。恥をかく。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】森鴎外『阿部一族』:「武士としての面目がつぶれる」

  • 面目を保つ(めんぼくをたもつ)

    • 【意味】名誉や体面を損なわずに維持する。

    • 【出所】『デジタル大辞泉』『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】川端康成『雪国』:「これで何とか面目を保つことができた。」

  • 面目を施す(めんぼくをほどこす)

    • 【意味】立派な成果をあげて、世間に対する名誉や評価を高める。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】吉川英治『宮本武蔵』:「武芸者としての面目を施した。」

  • 面目躍如(めんもくやくじょ)

    • 【意味】世間の評判どおり、生き生きと本領を発揮して面目を保つさま。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】芥川龍之介『戯作三昧』:「馬琴の面目躍如たるものがある。」

  • 面目ない/面目無い(めんぼくない)

    • 【意味】合わせる顔がない。世間に対して恥ずかしい。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】夏目漱石『こころ』:「先生に対して面目ない気持ちでいっぱいだった。」

  • 面目を刷新する(めんぼくをさっしんする)

    • 【意味】内容や姿を根本から改めて、全く新しい素晴らしい状態にする。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

  • 面目を失う(めんぼくをうしなう)

    • 【意味】名誉や世間体を失って立ち立場がなくなる。

    • 【出所】『精選版 日本国語大辞典』

  • 真面目(まじめ)

    • 【意味】①嘘やふざけがないさま。②誠実で真剣なさま。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】夏目漱石『坊っちゃん』:「真面目に勉強する」

  • 真面目(しんめんもく/しんめんぼく)

    • 【意味】ありのままの真実の姿。本来の正しいあり方。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『精選版 日本国語大辞典』

    • 【例文】芥川龍之介『河童』:「これが真面目を見せた瞬間である」

  • 真面目を現す(しんめんもくをあらわす)

    • 【意味】隠していた本性や本来の実力を露出・発揮する。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』

  • 面識(めんしき)

    • 【意味】互いに顔を知っていること、知り合いであること。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】芥川龍之介『羅生門』:「彼とは以前から面識があった」

  • 面識がない(めんしきがない)

    • 【意味】相手のことを全く知らず、会ったこともない。

    • 【出所】『デジタル大辞泉』

  • 面食い(めんくい)

    • 【意味】異性などを選ぶ際に、容姿・顔立ちの良さを極度に重視する性格。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

  • 百面相(ひゃくめんそう)

    • 【意味】次々に顔つきや表情を面白おかしく変える芸・さま。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】『デジタル大辞泉』:「くるくると百面相をする」

  • 千面相(せんめんそう)

    • 【意味】変幻自在に表情や姿を変えること。またそのような人物。

    • 【出所】『デジタル大辞泉』

  • 仮面(かめん)[比喩]

    • 【意味】本心や正体を隠すための表面上の態度。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】三島由紀夫『仮面の告白』

  • 仮面を脱ぐ(かめんをぬぐ)

    • 【意味】偽りの姿をやめて、本性や本心を露わにする。

    • 【出所】『デジタル大辞泉』

  • 仮面をかぶる(かめんをかぶる)

    • 【意味】本心を隠して善人や別の人物を装う。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』

  • 化けの面をはぐ(ばけのおもをはぐ)

    • 【意味】隠していた正体や偽善を暴く。

    • 【出所】『精選版 日本国語大辞典』

  • 覆面(ふくめん)[比喩]

    • 【意味】素性や名前を隠して活動すること(例:「覆面作家」)。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』

  • 面会(めんかい)

    • 【意味】人と会うこと。面談。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』

  • 面接(めんせつ)

    • 【意味】人物の適性や人柄を見るために直接会って質問対話すること。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』

  • 面(めん)を喰らう

    • 【意味】相手の攻撃や衝撃を直接受ける。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』

3. 抽象的概念・局面・側面・世間

  • 額面(がくめん)[比喩]

    • 【意味】文字通り、表面上の数字や言葉の通り(例:「額面通りに受け取る」)。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】『デジタル大辞泉』:「彼の発言を額面通りに受け取ることはできない」

  • 額面通り(がくめんどおり)

    • 【意味】表面に表示された言葉や数値をそのまま真に受けること。

    • 【出所】『デジタル大辞泉』

  • 対面(たいめん)

    • 【意味】世間に対する面目・体面。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】『デジタル大辞泉』:「対面を保つ」

  • 対面を汚す(たいめんをよごす)

    • 【意味】体面や名誉を傷つける。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』

  • 体面(たいめん)

    • 【意味】世間に対する面目・外聞・見栄え。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『デジタル大辞泉』

    • 【例文】夏目漱石『それから』:「体面を気にする」

  • 体面を繕う(たいめんをつくろう)

    • 【意味】世間体を気にして、外見や表面上だけ綺麗に取り繕う。

    • 【出所】『デジタル大辞泉』

  • 情面(じょうめん)

    • 【意味】義理や人情から生じる個人的な配慮・手加減。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』『精選版 日本国語大辞典』

    • 【引用】『漢書』

4. ことわざ・書面・専門比喩表現

  • 面(めん)をつくる

    • 【意味】剣道や演劇などで型や構えを完成させる。

    • 【出所】『精選版 日本国語大辞典』

  • 面(めん)を張る

    • 【意味】特定の範囲を網羅・カバーする、または剣道で面を打つ。

    • 【出所】『精選版 日本国語大辞典』

  • 面(めん)目(ぼく)無い

    • 【意味】「面目ない」の漢字表記・体面が保てない。

    • 【出所】『広辞苑 第七版』